『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』は、原作のゆるやかな日常と宗教ギャグをベースにしながら、監督・福田雄一による大胆なアレンジが加わった実写映画です。豪華キャストによるアドリブ満載の演出や、戦隊モノ・他作品のパロディといった仕掛けも登場し、賛否を巻き起こしました。この記事では、原作との違いや演出手法を軸に作品の構成や世界観を多角的に考察し、「これは一体誰のための聖☆おにいさんだったのか?」を掘り下げていきます。
<聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 予告編>
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聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 の内容考察
考察ポイント1:作品の世界観と原作との乖離
実写化による原作の再構築の是非
『聖☆おにいさん』は、宗教的な偉人たちの日常を描くというユニークなテーマで人気を博した原作漫画です。その繊細なユーモアや、宗教への深い理解をベースにした“ゆるさ”が多くのファンに愛されてきました。
今回の映画版では、原作や過去の実写ドラマ版で描かれた日常の一コマがいくつか再現されている一方で、完全にオリジナルの要素や演出が多く盛り込まれています。特に中盤以降は「ヒーロー映画」的な要素が強くなり、原作の静かでじわじわくる笑いとは大きくトーンが異なる印象を受けたという声が多く見られました。
また、既に配信済みだった過去エピソードの“焼き直し”も一部の観客からは不満が出ており、「既視感がある」「新しさに欠ける」という評価もあります。一方で、原作未読の人にとっては導入として親しみやすかったという意見もあり、どこまで原作に忠実であるべきか、という実写化の課題を改めて浮き彫りにした作品と言えるでしょう。
つまり、原作の再現に徹しなかったことは新たな表現の可能性でもありながら、ファンにとっては作品の本質を損なう改変と捉えられる結果にもなりました。
原作ファンが感じた違和感の正体
熱心な原作ファンが特に違和感を覚えたのは、キャラクターの性格や言動が原作とかけ離れていた点にあります。イエスやブッダといった主要キャラクターは、原作ではあくまで「聖人らしい品のある天然さ」で笑いを誘いますが、映画では奇声や変顔、オーバーな動きといった“芸人風”のアドリブが多用され、その落ち着きや神聖さが損なわれた印象を受けたという声が多く上がっています。
また、神(父)役の登場シーンでは、映画の裏側を見せるような演出やマイクの映り込みといった“メタギャグ”が強調され、物語世界に没入できないという意見も多数見られました。聖☆おにいさんという作品は、信仰や宗教に配慮した繊細なユーモアが評価されていたため、こうした現実との混在表現には拒否反応があったようです。
加えて、女子ーズやデスノートといった他作品のパロディの挿入により、「この映画は本当に聖☆おにいさんなのか?」という疑問を持たせてしまったことも、ファンが違和感を抱く大きな要因となりました。
「福田ワールド」の強調とその影響
本映画に色濃く現れていたのが、監督・福田雄一氏ならではの演出スタイル、いわゆる“福田ワールド”です。これは、アドリブの多用、登場人物の過剰なリアクション、メタ的なギャグ、俳優同士の掛け合い重視などが特徴とされています。たとえば『勇者ヨシヒコ』シリーズを楽しんでいた観客にとっては、なじみのあるスタイルとも言えるでしょう。
しかしこの“福田ワールド”が『聖☆おにいさん』の繊細で静かなユーモアとミスマッチであったという意見も少なくありません。特に佐藤二朗氏による長尺のアドリブや、マイクを画面に映すような現実と作品世界の境界を崩す演出は、「聖☆おにいさん」の持つ宗教的ファンタジーとしての雰囲気を著しく壊してしまったと感じた原作ファンも多くいました。
また、福田作品常連キャストによる“お約束”とも言える演出やネタの連発は、シリーズのファンにとっては内輪的で楽しいかもしれませんが、初見の観客や聖☆おにいさんの文脈を期待して観に来た人にとっては置いてけぼり感を生む結果となっています。つまり、“福田ワールド”が良くも悪くも強く出過ぎたことで、作品全体の評価が二極化する要因のひとつとなったのです。
考察ポイント2:物語構成とコメディ手法の評価
内輪ネタ・アドリブ・メタ表現の多用について
映画の中で目立ったのが、キャスト同士の内輪ノリやアドリブを多く取り入れた構成です。たとえば、佐藤二朗さん演じる“神(父)”が延々と話し続けるシーンでは、アドリブと思われる長尺の掛け合いや、音声スタッフの腕がプルプルしている様子をネタにするなど、撮影の裏側をあえて露出させるメタ的な笑いが含まれています。
こうした手法は、テレビドラマやバラエティ的な演出としては一部で支持されているものの、映画館で観る作品としては賛否が分かれます。実際、観客の中には「現場だけが盛り上がっていて観客は置いてけぼり」と感じたという声もあり、メタ表現の多用が没入感を損なう原因になったという意見が多数寄せられました。
また、他作品のパロディや“内輪ネタ”とも受け取られる演出も多く登場します。『女子ーズ』や『デスノート』といった過去作のキャラクターや小道具の登場は、知っている人にとっては笑いのポイントになる反面、それらを知らない観客には意味が伝わらず、疎外感すら与えてしまう可能性も。
内輪ネタやアドリブの多用が全体のテンポや笑いにどのような影響を与えたかについては、好みの分かれるところですが、少なくとも“万人受け”とは程遠いスタイルであることは間違いないでしょう。
テンポ・尺・展開の冗長さが与えた印象
映画の尺は約90分と長すぎるわけではありませんが、内容の密度に対して「長く感じた」と語る観客が多く見られました。特に中盤から終盤にかけては、物語の展開が停滞し、無意味に感じられる場面が続いたため、「何を見せられているのか分からない」といった反応も出ています。
序盤はイエスとブッダの日常をゆるく描いたシーンが続き、原作ファンにはなじみのある描写もあって、比較的好意的に受け取られていました。しかし、走馬灯を撮影するという設定に移行してからのストーリー進行は冗長で、同じようなやり取りやテンポの遅いギャグが繰り返される場面が多く、観客の集中力が持続しにくい構成だったようです。
アドリブシーンやメタ的な演出の多さも、テンポに悪影響を与えた一因です。佐藤二朗氏による長尺の独演や、戦隊モノの撮影中に何度も差し込まれる“間延びしたギャグ”のせいで、話の流れが中断される印象を受けたという意見が複数のレビューに見られました。
その結果、「もう少し尺を短くまとめた方がよかった」「無駄に引き延ばされた感が否めない」といった感想に繋がっています。物語の核心がぼやけ、最後まで観るモチベーションを保つのが難しかったという観客も少なくありませんでした。
戦隊ものパロディとしての成立性
映画の後半では、物語の中心が「ホーリーメン」という戦隊モノの撮影に移行します。この展開は、原作の静かな日常描写とはかけ離れており、派手なビジュアルや“合体ロボット”といった特撮ネタが全面に押し出されていました。これにより作品は一気にヒーローショー的な雰囲気に変わり、従来の聖☆おにいさんのファンには戸惑いを与える結果となっています。
戦隊モノとしての演出は、確かに豪華キャストによって視覚的な楽しさを提供していました。賀来賢人演じる梵天や、岩田剛典のミカエル、さらには藤原竜也の巨大ルシファーなど、戦隊・特撮的な世界観へのこだわりは感じられます。
しかし、これが『聖☆おにいさん』という作品に必要だったかという点には多くの疑問が残ります。物語の筋が戦隊ショーの撮影に引っ張られるあまり、本来のテーマである“聖人たちのゆるい日常”という軸がぼやけてしまい、「聖☆おにいさんである必然性がない」という声も上がっていました。
結果として、このパロディ的展開は一部には刺さったものの、笑いの幅を広げるというよりは、作品の世界観を散漫にしてしまった印象が強かったようです。
聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 はこんな人におすすめ
福田監督作品に馴染みのある人
『勇者ヨシヒコ』シリーズや『今日から俺は!!』といった福田雄一監督の作品を観たことがあり、その独特のゆるさ、アドリブ満載の掛け合い、そして“内輪ノリ”とも言われる雰囲気を楽しめる人には、この映画も比較的入りやすいでしょう。
キャストにもムロツヨシ、佐藤二朗、賀来賢人といった福田組常連が勢揃いしており、いつもの空気感が健在です。そのため、福田作品のファンであれば「またこの感じか」と懐かしさを覚えつつ、肩の力を抜いて観ることができるでしょう。
ただし、あくまで『聖☆おにいさん』という作品に期待して観るとギャップを感じるかもしれません。あくまで“福田映画の延長線上にある聖☆おにいさん”として楽しめる方におすすめです。
ゆるくてナンセンスな笑いが好きな人
イエスとブッダの奇妙で静かな日常に、思わず「何やってんの!」と笑ってしまうようなゆるさを求める人には、前半の描写がぴったりです。福引きや漫才コンビ結成といった、脱力感満載の展開がテンポよく描かれており、“何も起こらない”ことそのものが笑いにつながる構造になっています。
また、戦隊モノ風のシーンやスタンド風の能力バトル、デスノートの登場といった唐突でナンセンスなパロディが次々に現れる点も、本作の大きな特徴。物語の整合性よりも「勢い」「くだらなさ」「バカバカしさ」に魅力を感じる人には楽しめる要素が詰まっています。
全体的に、深く考えずに観ることができ、力を抜いて笑いたい人にとっては、ちょうど良いエンタメ体験となるでしょう。
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聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 作品情報
解説・あらすじ
神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダが東京・立川にある6畳一間のアパートでふたり暮らしをしながら下界を満喫する日常を描いた人気ギャグ漫画「聖☆おにいさん」を実写映画化。原作者・中村光が映画化のために描いた原作エピソード「スクリーンへの長い途(みち)」をもとに、2018年のドラマ版に続いて福田雄一監督がメガホンをとり、松山ケンイチがイエス役、染谷将太がブッダ役で主演を務める。
世紀末を無事に乗り越えたイエスとブッダは、日本の四季折々を感じながら、福引を楽しんだり、お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したりと、ゆるい日常を過ごしていた。そんなある日、2人のもとに招かれざる客が現れ、衝撃の事実を伝える。やがてそれは、神と仏と天使と悪魔が入り乱れる予測不能な戦いへと展開していく。
賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、佐藤二朗、仲野太賀、神木隆之介がそれぞれ天界関係のキャラクターを演じ、藤原竜也、窪田正孝、山本美月、桜井日奈子、中田青渚が悪魔側のキャラクターを演じる。そのほか、福田監督が手がけた戦隊コメディ「女子ーズ」も登場し、川口春奈、吉柳咲良、田中美久、森日菜美、安斉星来が新生「女子ーズ」を演じる。さらに山田孝之、ムロツヨシら豪華キャストが集結。2024年製作/93分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2024年12月20日
みどころ
最大の見どころは、やはり豪華キャストによる振り切った演技と、福田雄一監督ならではの自由な作風が融合した点です。松山ケンイチと染谷将太によるイエスとブッダの掛け合いは、過去シリーズ同様に味わい深く、ゆるさと脱力感が絶妙にマッチしています。
また、賀来賢人のハイテンションな梵天、窪田正孝のユーモラスなマーラ、岩田剛典の個性的なミカエルなど、脇を固める俳優陣のキャラクターも際立っており、それぞれの“らしさ”を存分に発揮。特にマーラ親子のやり取りや、ルシファーとして登場する藤原竜也がデスノートを手にする場面などは、多くの観客の記憶に残る強烈なシーンです。
さらに、映画終盤の戦隊ヒーロー的な展開では、特撮パロディとしての面白さも満載で、CGを使った巨大化バトルや意味不明な必殺技の応酬など、バカバカしさを極めています。加えて、メタ的演出やアドリブシーンも多数あり、福田監督作品に親しんでいる人なら、ツボを押さえた笑いを楽しめることでしょう。
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まとめ
『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』は、原作の“聖人たちのゆるい日常”をベースにしながらも、大きく方向転換したチャレンジングな実写映画です。豪華キャストによる個性豊かな演技や、戦隊モノやメタネタを取り入れた福田監督ならではの演出が光る一方で、原作ファンからは「違和感」「キャラ崩壊」といった厳しい意見も寄せられました。
物語の構成やテンポ、ギャグの方向性に対する評価は大きく分かれており、「福田ワールド」に親しみのある人や、ナンセンスな笑いが好きな人にとっては楽しめる要素が多い作品です。しかし、聖☆おにいさん本来の世界観や原作の雰囲気を求める人にとっては、期待とは異なる体験になる可能性があります。
総じて、どの角度からこの映画を観るかによって、評価が180度変わる“観る人を選ぶ作品”といえるでしょう。気になる方は、まずは軽い気持ちで挑んでみて、自分なりの感想を持つことが大切です。
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