人生をやり直せるとしたら、あなたは何を変えますか?映画『ファーストキス 1ST KISS』は、夫を失った女性が過去へ戻り、もう一度“愛”と向き合おうとするタイムスリップ・ラブストーリー。切なさと優しさが交差する感動作です。
<ファーストキス 1ST KISS 予告編>

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『ファーストキス 1ST KISS』の見どころ
見どころポイント1:タイムトラベルが描く夫婦愛の再生
時空を超えて描かれる“やり直し”の物語
『ファーストキス 1ST KISS』では、離婚を決めたその日に夫を事故で亡くしてしまうという衝撃的な出来事から物語が始まります。そこから、主人公カンナが偶然にも過去へタイムスリップできることを知り、15年前の夫・駈と再び出会うことで、心の奥に眠っていた“もう一度やり直したい”という想いが目を覚まします。
驚くのは、単なる「過去改変」の物語ではなく、彼女自身が未来を変えるために何度も同じ時間を巡りながら、少しずつ愛情や日常の重みを再発見していくプロセス。毎回変わる出会いの形や小さな選択がもたらす感情の違いに、自分の人生にも重ねてしまいました。
切ないけれど温かい、過去と向き合うことで今を大切に思えるようになる、そんなやり直しの物語です。
過去と現在が繵りなす感情の重なり
観ていて特に心に響いたのは、過去と現在が何度も交錯する構成が、感情のグラデーションを豊かに見せていた点です。カンナがタイムスリップを繰り返すことで、彼女の視点は「過去の駈」「現在の自分」「未来を変えたい想い」といくつものレイヤーに分かれていきます。
一方の駈は、出会うたびに異なるバリエーションのカンナに接することになるので、観客としても「今この瞬間の感情はどの時間軸に属するものなのか」を丁寧に追うことになります。その積み重ねが、単なる“夫婦愛の回復”ではなく、「記憶を持つ側と持たない側の関係性」の繊細な描写にもなっていて、思わず胸が締めつけられました。
未来の悲しみを知っているカンナと、何も知らずにまっすぐ向き合う駈の対比が、過去と現在の情感を何層にも重ねていく。観終わったあと、時間というものの重みが改めてずっしり残るような余韻がありました。
会話劇が絞り出すリアルで切ない夫婦像
『ファーストキス 1ST KISS』は、まさに“言葉”で心を動かす映画でした。タイムスリップや映像演出に目を奪われがちですが、実際に最も印象に残ったのはカンナと駈のやり取りそのもの。些細な一言や沈黙すらも、ふたりの関係性の深さや綻びをリアルに浮かび上がらせます。
特に、離婚を決めた直後の冷え切った会話と、15年前に戻って初めて言葉を交わす場面のギャップが際立っていました。長年の積み重ねで無意識に避けるようになってしまった言葉たちが、過去の出会いでは新鮮に響く。その対比が痛々しくもあり、同時に美しいんです。
駈の「知らないふり」で優しさを見せる場面や、カンナが本音をぶつける瞬間には、観ている側も思わず息を呑みました。セリフに頼るのではなく、言葉に込めた思いの強さで引っ張っていく。まさに“会話劇”だからこそ、ここまで切なく響いたのだと感じます。
見どころポイント2:松たか子×松村北斗の化学反応
年齢差を感じさせない緊密なキャスティング
松たか子と松村北斗という年齢差のある主演二人が、まったく違和感なく“運命の相手”として映っていたのが驚きでした。最初は「歳の差がリアルな恋愛感情にブレーキをかけるのでは?」という心配も正直ありましたが、観終わる頃にはすっかりその思いは消えていました。
松たか子が演じるカンナは、時にコミカルで、時に本気で愛をぶつける姿が自然体でとてもチャーミング。一方の松村北斗は、純朴さと知性のバランスが絶妙で、誠実な若者から年齢を重ねた夫までをきっちり演じ分けています。
特筆すべきは、二人の間に生まれる「空気感」。それがスクリーン越しにも伝わってくるからこそ、観客は彼らの物語に引き込まれていく。単なる“年齢を超えたキャスティング”ではなく、リアルな感情の流れを受け止めあう“魂の相性”がそこにありました。
若返り演出とリアルな表情演技の融合
松たか子が20代を演じると聞いたとき、正直なところ「さすがに無理があるのでは」と疑っていました。ところが、映像を観て驚きました。CGや照明、メイクによる若返り演出はとても自然で、過去の連ドラ時代の彼女を彷彿とさせる仕上がりです。
ただ、それ以上に大きかったのは松たか子自身の演技力。表情の作り方や、声のトーン、間の取り方ひとつで“若い頃のカンナ”を成立させていて、映像技術と役者の力が噛み合うとここまで説得力が出るのかと感心しました。
松村北斗も、年齢を重ねた駈を演じるシーンでは、セリフに頼らず所作や佇まいで「年月」を表現。特に視線の動かし方が印象的で、現在と過去の駈を行き来するなかでも、その繊細な差がしっかり伝わってきました。
技術と演技、どちらが欠けても成立しない役作りが、心に深く残ります。
二人芝としての完成度の高さ
全編を通して感じたのは、まるで舞台劇のような“二人芝”の濃密さでした。登場人物は多くいるものの、ストーリーの中心は常にカンナと駈。ふたりの会話と表情だけで物語が進み、観客は彼らの心の揺れを見逃さないように集中してしまいます。
特に印象的だったのは、繰り返し登場する“かき氷の行列”や“ベッドでの朝”といったシーン。それぞれの場面で二人の心の距離感が少しずつ変化していくのがわかり、まるで何層にも重なった感情のレイヤーを感じるような演出でした。
松たか子と松村北斗の掛け合いには、台本の外にあるような自然さがあって、まるで本当に長年連れ添った夫婦をのぞき見している気分にすらなります。二人の呼吸が合っているからこそ、言葉のひとつひとつがより深く刺さる。まさに“演技の応酬”ではなく、“感情のキャッチボール”が成立していました。

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『ファーストキス 1ST KISS』はこんな人におすすめ
結婚生活や夫婦関係に悩んでいる人
パートナーとの関係が冷え切ってしまった、あるいは「なぜこの人と結婚したんだろう?」と思ってしまう瞬間がある──そんな人にこそ、この作品は刺さると思います。
カンナと駈は、すれ違いと疲れの中で“離婚”という決断を選びます。でも、やり直せるチャンスが訪れたことで、ふたりが本当はどう感じていたのか、どこで思い違いをしてしまったのかが、ひとつずつ丁寧に描かれていきます。
夫婦生活の中で見落としがちな「言葉にしない想い」や「小さな優しさのすれ違い」が、この映画の中でははっきりと浮き彫りになります。観ているうちに、自分たちの関係を省みたり、伝えたい言葉を見つけたくなったりするはず。
“離婚をテーマにした映画”というより、“どうすれば愛を伝え直せるのか”を考えさせてくれる作品です。
ロマンチックな要素と泣けるストーリーを求める人
タイムトラベルという非日常の設定に惹かれて観始めたものの、途中からは完全に“心の物語”に引き込まれていました。過去と現在、そして未来を行き来するなかで浮かび上がってくるのは、恋愛のときめきと、それを失うことの痛み。どちらも丁寧に描かれていて、思わず涙がこぼれました。
特に、カンナと駈が時間を超えて惹かれ合う様子は、ファンタジー的な設定を超えてリアルなロマンスとして成立しています。二人の出会い直しのたびに、恋をする瞬間の高揚感や、言葉にならない感情の揺れが伝わってきて、観る側の心も優しく揺さぶられました。
恋に落ちるときの「この人かも」という直感や、不安と希望が入り混じった胸のざわめき──そういった感情を丁寧にすくい取っていて、ロマンチックな映画が好きな方にはたまらない内容です。そしてその中に、切なさと涙が同時に訪れるラストも待っています。

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『ファーストキス 1ST KISS』作品情報
あらすじ(公式)
「花束みたいな恋をした」「怪物」の脚本家・坂元裕二と「ラストマイル」「わたしの幸せな結婚」の監督・塚原あゆ子が初タッグを組み、オリジナルストーリーで描いた恋愛映画。
結婚して15年になる夫を事故で亡くした硯カンナ。夫の駈とはずっと前から倦怠期が続いており、不仲なままだった。第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする手段を得たカンナは過去に戻り、自分と出会う直前の駈と再会。やはり駈のことが好きだったと気づき、もう一度恋に落ちたカンナは、15年後に起こる事故から彼を救うことを決意する。
主人公カンナを松たか子、夫・駈をアイドルグループ「SixTONES」の松村北斗が演じ、研究員の駈のことを気にかける大学教授・天馬市郎役でリリー・フランキー、駈に恋心を抱く天馬の娘・里津役で吉岡里帆、カンナと共に働く美術スタッフ・世木杏里役で森七菜が共演。2025年製作/124分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2025年2月7日
まとめ
『ファーストキス 1ST KISS』は、ただのラブストーリーでも、単なるSFファンタジーでもありません。人生における“選択”や“時間”の尊さ、そして「人を想うことの意味」を静かに、でも深く問いかけてくる作品です。
過去を変えることはできないけれど、向き合うことで“今”を変えることはできる。そんな希望が丁寧に描かれていて、観終わったあとはきっと、大切な人の顔が思い浮かぶはず。
心が疲れているとき、何かを見失いかけたときに、そっと寄り添ってくれるような映画です。感動や涙だけでなく、自分自身を見つめ直す静かな時間をくれる──そんな一本でした。






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