ローマ教皇の死去をきっかけに始まる、世界でもっとも神聖で密室的な選挙「コンクラーベ」。映画『教皇選挙』は、外界と隔絶された礼拝堂で進行する緊迫のドラマを通じて、宗教、ジェンダー、権力という重厚なテーマに切り込む問題作です。視覚的な美しさと演技派俳優陣の競演、そして誰も予想できないラストまで、目が離せない一作となっています。皆さんの感想評価レビューをまとめました。
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【映画】教皇選挙 の魅力|あらすじや見どころをネタバレなしで紹介
<教皇選挙 予告編>

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教皇選挙 みんなの感想評価レビュー
評価・感想レビュー元サイト:映画.com
評判が良い点
緊張感あるミステリー展開と意外性のあるラスト
ローマ教皇の死去から始まる物語は、100人以上の枢機卿が集まり密室で次期教皇を選出する「コンクラーベ」の舞台へと進む。スマートフォンや通信手段を一切遮断された閉鎖空間の中で、政治的駆け引きやスキャンダルの暴露が繰り返され、観客はまるでその場に同席しているかのような緊張感に包まれる。
有力候補たちの失脚、密かに枢機卿に任命されていた新参者ベニテスの登場など、次々と予想を裏切る展開が用意されており、特に終盤に明かされる”真の秘密”は、観る者に強烈な衝撃と余韻を残す。最終的に誰が教皇の座に就くのか、その選出過程が最後まで分からず、観客を引き込むミステリー要素に満ちている。
レイフ・ファインズをはじめとする名優たちの演技力
主人公ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズは、静かな苦悩や疑念、内面の葛藤を抑えた表情とわずかな仕草で丁寧に表現し、観客を物語の核心へと引き込んだ。その繊細な演技は、選挙管理役としての責務と、個人としての信念や迷いのはざまで揺れる人間像をリアルに映し出している。
また、リベラルな枢機卿ベリーニ役をスタンリー・トゥッチが、腹に一物あるトランブレ役をジョン・リスゴーが演じ、それぞれが圧倒的な存在感で物語に深みを与えている。さらに、物語の鍵を握るベニテスを演じたカルロス・ディエスは、俳優歴の浅さを感じさせない堂々たる演技で注目を集めた。
加えて、イザベラ・ロッセリーニ演じるシスター・アグネスの静かな中に芯の強さを感じさせる佇まいも印象的。重厚な男社会の中において、わずかな登場ながらも確かな印象を残している。これらの俳優たちが織りなす緊張感あふれる演技の応酬は、静かな密室劇に見応えと格調をもたらしている。
重厚で荘厳な映像美とリアリティのある美術・衣装
視覚的な美しさが強い印象を残す本作は、全編を通して映像と美術に対するこだわりが際立っている。システィーナ礼拝堂を再現したセットは実在の空間さながらの荘厳さで、伝統的な宗教画を思わせる構図や光の使い方が美術的な感動を生む。
背景の色味は意図的に抑えられており、そこに浮かび上がる枢機卿たちの深紅の法衣や漆黒の装束が際立つ。衣装はそれぞれの人物の性格や立場を反映しており、豪奢さと戒律の象徴を同時に感じさせる。
一方で、現代的なアイテム――スマートフォン、自動シャッター、タバコの吸い殻など――が時折映り込む演出が、時代のリアリティを引き寄せつつ、伝統と現代のギャップを際立たせている。これにより、聖職者たちの俗っぽさや人間臭さが視覚的にも伝わり、テーマの根底にある「人間とは何か」という問いに深みを与えている。
ジェンダーと信仰をめぐる現代的テーマへの挑戦
作品の核心をなすのが、インターセックス(両性具有)の新任枢機卿・ベニテスを巡る展開である。男性しかなれないとされてきたカトリック教会の最高位である教皇に、身体に女性的な特徴を持つ人物が選ばれるという事実が、宗教とジェンダーの間に横たわる固定観念や制度の矛盾を鋭く突く。
ベニテスは自らの身体に手を加えようとはせず、神に与えられた存在そのものとして自分を受け入れている。その姿勢は「確信」という言葉を信仰の名のもとに使って排除を正当化する態度に対する、静かで強い異議申し立てでもある。
男性中心のバチカンという閉ざされた空間で、ジェンダーの流動性や多様性を受け入れる必要性を投げかけるこの物語は、宗教の根幹に触れながら、同時に時代に対しても鋭く問いを突きつけている。保守的な制度の象徴ともいえるバチカンを舞台にしながら、多様性と包摂を最終的に肯定してみせた点は、多くの観客に驚きと感動をもたらした。

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評判が良くない点
宗教的背景が難しく、取っつきづらいとの声も
教皇選挙をテーマにしているため、カトリック教会の制度や歴史、教義に関する知識がないと細部が理解しづらいと感じる観客も少なくない。コンクラーベという制度自体に馴染みがない人にとっては、枢機卿や教皇の役割、選出過程が複雑に映り、物語に没入しづらいという意見が目立った。
また、作中で交わされる宗教的な言い回しや儀式の意味合いなどが説明される場面はあまりなく、専門的な印象を強く受ける。そのため、信仰や宗教に関する基礎知識が乏しいと、ドラマの核心にあるテーマや葛藤に感情移入しづらいと感じる人もいるようだ。
静かで地味な展開が退屈に感じられる人もいる
アクションや劇的な展開に慣れている観客にとっては、物語の進行が全体的に静かで、視覚的な刺激やスピード感に乏しく感じられるかもしれない。コンクラーベという閉鎖的な場面を中心に、登場人物の駆け引きや内面の葛藤を描くため、緩やかなテンポで進行していく。
特に前半は登場人物の紹介や関係性の構築が中心となるため、ドラマチックな山場が訪れるまで時間がかかる印象を受ける人もいる。そうした構成が「地味」「退屈」と映り、途中で集中力を切らすという感想も一部では見られた。
教皇選挙はこんな人におすすめ
政治劇・密室ドラマが好きな人
密閉された空間での権力闘争や心理戦が描かれる作品が好きな方には、本作は格好の題材となる。外界と遮断されたシスティーナ礼拝堂で繰り広げられる枢機卿たちの駆け引きは、まさに政治劇の醍醐味そのもの。
誰が教皇になるのかという一大決定を巡る緊張感、腹の探り合い、信念と打算が交差する会話の応酬など、静かな場面でありながら手に汗握る展開が続く。セリフと表情の一つ一つに重みがあり、密室劇が持つ独特のスリルを存分に味わえる。
宗教やジェンダーに関心がある人
カトリック教会という伝統的で保守的な組織を舞台に、信仰と制度、そして性のあり方にまで踏み込む本作は、宗教やジェンダーに興味を持つ人にとって非常に刺激的な題材となる。インターセックスの枢機卿という存在が、従来の宗教観や社会規範に鋭く切り込んでいく様子は、現代的な視点からの問いかけとして強く印象に残るだろう。
また、信仰とは何か、誰がそれを語る資格を持つのかというテーマも随所に織り込まれており、単なる物語以上に深い思索を促してくれる。多様性や包括性をめぐる議論が進む今の時代に、観る者の価値観を揺さぶる作品として強く推薦できる。
緻密な脚本と俳優の演技を楽しみたい人
論理的に構築された物語の流れと、セリフに込められた深い意味を味わいたい人には特におすすめ。全体の展開は緻密に計算されており、些細な会話や視線の動きにさえ伏線や心理的な揺らぎが織り込まれている。
登場人物の関係性や信念が複雑に絡み合い、誰が何を隠し、何を選ぼうとしているのかが少しずつ明かされていく展開は、脚本の完成度の高さを物語っている。
また、レイフ・ファインズやスタンリー・トゥッチといった名優たちによる静かで力強い演技も見どころ。台詞のやりとりだけで緊張感が伝わってくるシーンの数々は、俳優の演技力と脚本の相乗効果を堪能できる好例と言える。

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教皇選挙 作品情報
解説・あらすじ
第95回アカデミー賞で国際長編映画賞ほか4部門を受賞した「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督が、ローマ教皇選挙の舞台裏と内幕に迫ったミステリー。
全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会。その最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする。票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく。選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる。
ローレンス枢機卿を「シンドラーのリスト」「イングリッシュ・ペイシェント」の名優レイフ・ファインズが演じるほか、「プラダを着た悪魔」のスタンリー・トゥッチ、「スキャンダル」のジョン・リスゴー、「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニらが脇を固める。第97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。2024年製作/120分/G/アメリカ・イギリス合作
原題または英題:Conclave
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2025年3月20日
みどころ
注目すべきポイントは、まずその緊張感あふれるストーリーテリング。誰が教皇になるのかを巡って、枢機卿たちの間で繰り広げられる心理戦や情報戦はまるで知的サスペンスのようで、観客を終始画面に引きつける。中でも、密室の礼拝堂に外から風が吹き込むシーンや、選挙の最中に突如起きる爆発の演出は象徴的で、物語の転換点として強い印象を残す。
また、映像と美術の完成度が極めて高い。色彩を抑えた空間に際立つ赤い法衣や黒い装束は視覚的に美しく、宗教画のような構図も多く見られる。伝統と現代が同居する演出も見逃せない。スマホや自動シャッターなどの現代的な要素が、厳粛な宗教空間に現れることで、時代と価値観のねじれを象徴的に表現している。
さらに、テーマとして描かれるのは単なる権力闘争ではない。信仰とは何か、教会とは何か、そして「性別」とは何なのか。観る者に静かに、しかし強く問いかける構成が、多くの観客の心を打つ大きな要因となっている。

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まとめ
『教皇選挙』は、宗教、ジェンダー、権力といった重層的なテーマを、静謐な密室劇として描き切った意欲作。宗教制度や教義に深く踏み込むため観る人を選ぶ部分もあるが、それゆえに刺さる人には深く届く内容となっている。
演技派キャスト陣による緊張感ある応酬、美術・衣装にこだわったビジュアル、そして時代の価値観を反映したストーリー展開は、単なるドラマにとどまらず社会への問いかけとしても強いインパクトを残す。
宗教映画や政治劇に馴染みのない人でも、現代に通じる人間ドラマとしての深みを感じられる作品。じっくり考えながら観ることが好きな人に、ぜひおすすめしたい一本。






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