『八犬伝』は、日本最古の伝奇小説として知られる滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』を原作とし、その誕生秘話を描いた作品です。本作では、作者である馬琴がどのようにして28年もの歳月をかけて物語を完成させたのか、彼の人生や葛飾北斎との交流、そして家族との関係を交えながら映像化されています。
映画は、馬琴が語る「八犬伝」の物語と、彼自身の実生活が交錯する構成になっており、虚構と現実を巧みに織り交ぜることで物語の深みを増しています。役所広司が演じる馬琴、内野聖陽が演じる葛飾北斎をはじめとする豪華なキャスト陣が繰り広げる人間ドラマは見どころの一つです。
また、VFXを駆使した「八犬伝」パートでは、壮大な戦いのシーンや幻想的な演出が施され、視覚的にも楽しめる作品となっています。しかし、一方で虚実のバランスやストーリーの展開については賛否両論の声もあり、観る人によって評価が分かれる部分もあります。
本記事では、映画『八犬伝』の評価や感想をまとめ、どのような魅力があるのか、またどのような点が指摘されているのかを詳しくご紹介していきます。
八犬伝 は Prime Video で配信中!!

いつでもどこでも手軽に見れるにゃ!
八犬伝 みんなの感想評価レビュー
評価・感想レビュー元サイト:映画.com
評判が良い点
豪華なキャスト陣
本作には、実力派俳優が多数出演しており、その演技力が作品の魅力を大いに引き立てています。主人公・滝沢馬琴を演じるのは日本映画界を代表する名優・役所広司。彼の重厚な演技は、八犬伝を生み出した馬琴の苦悩や創作への情熱を見事に表現しています。
また、葛飾北斎役には内野聖陽がキャスティングされ、馬琴との掛け合いが見どころのひとつになっています。北斎の気まぐれで奔放な性格と、それに振り回される馬琴の関係性が絶妙に描かれています。
さらに、映画の要所で登場する寺島しのぶ(馬琴の妻・お百役)、黒木華(馬琴の嫁・お路役)、磯村勇斗(馬琴の息子・宗伯役)らの演技も高評価を得ています。特に、お路が馬琴の口述筆記を担当するシーンでは、黒木華の繊細な演技が光り、感動的な場面を作り上げています。
一方、「八犬伝」パートでは、八犬士を演じる若手俳優たちが華を添えています。渡邊圭祐、水上恒司、板垣李光人らがそれぞれ個性豊かなキャラクターを演じ、特に犬坂毛野を演じた板垣李光人の美しさと演技力が注目を集めました。
また、ラスボスである玉梓を演じた栗山千明も妖艶な存在感を放ち、彼女の怪演は観客に強い印象を与えました。これらのキャスト陣が作品を支え、演技面での評価を高める要因となっています。
作品の演出と映像美
映像美においては、VFX技術を駆使した壮大なシーンが特徴的です。特に「八犬伝」パートでは、幻想的な世界観を際立たせる映像が用いられ、剣士たちの戦闘シーンは迫力満点です。芳流閣での決闘シーンや、巨大な犬のCG表現など、視覚的に楽しめる要素が多く取り入れられています。
また、江戸時代の風情を再現した美術セットや衣装の精巧さも魅力の一つです。芝居小屋での演劇シーンでは、当時の文化が緻密に描かれ、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
一方で、映画全体の演出は大胆な試みがされており、実世界と虚構の世界が交互に展開する独特の構成が採用されています。特に馬琴と鶴屋南北の対話シーンでは、物語に対する哲学的なテーマが浮き彫りになり、深みを与えています。北斎との掛け合いもユーモアを交えつつ、物語のテンポを心地よく維持する要素として機能しています。
しかし、演出のスタイルが一部の観客にとっては複雑に感じられることもあり、虚と実のバランスに関して賛否が分かれています。それでも、視覚的なインパクトやこだわり抜かれた美術セットは、多くの観客を魅了する要素となっています。
ストーリーの構成とテーマ性
本作は、滝沢馬琴が『南総里見八犬伝』を執筆する過程と、その物語の内容を交錯させながら進行する構成が特徴的です。馬琴の人生と八犬伝のストーリーが並行して描かれることで、創作の背景にある馬琴の思いや苦悩がより深く伝わる作りになっています。
また、映画のテーマには「虚と実」の対比が重要な要素として盛り込まれています。劇中では、馬琴と劇作家・鶴屋南北の対話を通じて、勧善懲悪の物語が果たす役割や、虚構が現実を映し出す可能性について考察されています。このテーマは、現代社会におけるフィクションの意義をも示唆するものとなっています。
ただし、こうした構成は一部の観客にはやや複雑に映ることもあるようです。特に「八犬伝」パートがダイジェスト的に描かれるため、物語の展開についていきづらいと感じる人も少なくありません。その一方で、実世界の馬琴の人生を知ることで、「八犬伝」の物語そのものに対する理解が深まるといったメリットもあります。
ストーリーの構成は、時代劇や歴史フィクションが好きな観客にとっては魅力的な要素となる一方、純粋なエンターテインメント作品として観るとやや難解な部分もあるかもしれません。しかし、作品全体に込められたテーマの深みは、観る人によって異なる解釈が可能であり、多様な感想を生む要因となっています。
馬琴と北斎の掛け合い
馬琴と北斎の関係は、師弟でもなくライバルでもなく、互いに影響を与え合う独特の友情が描かれています。馬琴が『八犬伝』の構想を語るたびに、北斎はそれを即興で絵にしていく。しかし、それをあっさりと丸めて捨ててしまう北斎の態度が馬琴を苛立たせる場面もあります。
二人の会話は、創作における考え方の違いや、芸術に対する価値観を示すものとなっています。北斎の奔放さと馬琴の頑固さの対比が際立ち、時にユーモラスでありながらも、お互いの才能を認め合う関係性が魅力的です。
また、北斎が語る「絵は言葉に縛られない」という考えと、馬琴が信じる「物語は人の心を動かす」という信念の違いが、二人の対話をさらに深みのあるものにしています。彼らの掛け合いは、単なる会話ではなく、創作に対する哲学を反映した重要な要素として機能しています。
この独特な関係が作品の軽快なテンポを生み出し、観客にとっては、重厚なストーリーの中での息抜きにもなっています。
評判が良くない点
虚実のバランスが難解
物語の進行は、滝沢馬琴の実生活と彼が創作する『南総里見八犬伝』の虚構世界が交互に描かれる構成となっています。この演出により、フィクションと現実の関係性が浮き彫りになり、作品のテーマである「虚と実の交錯」を強調しています。
しかし、一部の観客にとっては、この二つの世界が頻繁に切り替わることが物語の理解を難しくしているという意見もあります。特に、八犬伝パートの進行がダイジェスト的であるため、登場人物の関係性や背景を深く理解するのが難しいと感じる人もいるようです。
また、馬琴と鶴屋南北の問答シーンにおける「虚実論」も、哲学的な要素を含むため、観る人によっては難解に映ることがあります。この対話は、創作におけるリアリズムとフィクションの役割を考えさせる深みのあるものですが、映画のテンポを緩める要因にもなっています。
このように、虚実のバランスが巧みに描かれている一方で、物語の流れや理解のしやすさについては観る人によって評価が分かれるポイントとなっています。
キャラクターの描写不足
登場人物の多さとストーリーの展開スピードの速さから、一部のキャラクターが十分に描き切れていないと感じる観客も多いようです。特に「八犬伝」パートでは、八犬士それぞれの個性や背景に十分な時間が割かれず、ダイジェスト的に物語が進むため、彼らの成長やドラマに感情移入しづらいとの指摘があります。
また、主人公である滝沢馬琴の家族関係もやや淡白に描かれている点が気になります。妻・お百(寺島しのぶ)は夫に対して常に不満を抱いているような描写が続き、彼女の心情の変化があまり伝わってきません。息子の宗伯(磯村勇斗)についても、父との関係性をより深掘りする場面が少なく、彼の死が持つ重みがやや軽減されている印象を受けます。
さらに、ラスボス的存在である玉梓(栗山千明)は妖艶な雰囲気を放っているものの、彼女の復讐心や動機について掘り下げが足りず、単なる「悪役」として処理されてしまっている点も惜しいところです。過去の「八犬伝」作品では、玉梓が持つ因縁や哀しみを強調した作品もあるため、もう少しキャラクターの内面に踏み込んでほしかったという声もあります。
全体として、キャラクターが魅力的であるにもかかわらず、限られた上映時間の中で描写が十分でない点が、観客の不満として挙げられています。
八犬伝はこんな人におすすめ
時代劇ファンタジーが好きな人
『八犬伝』は、江戸時代を舞台にした歴史ドラマでありながら、八犬士の活躍や怨霊との戦いといった伝奇要素が色濃く含まれています。戦国時代や江戸時代を舞台とした時代劇が好きな人はもちろん、ファンタジー要素のある作品を好む観客にも楽しめる内容です。
また、映像技術を駆使したアクションシーンや、美しく作り込まれた衣装・美術セットが魅力的で、時代劇ならではの雰囲気を存分に味わうことができます。勧善懲悪の物語が好きな人、剣士たちの戦いを描いた作品が好きな人にとっても、見どころの多い映画といえるでしょう。
さらに、『里見八犬伝』の過去の映像作品を観たことがある人にとっては、本作がどのように新しい解釈を加え、現代的な映像表現と融合させているのかを楽しむ要素にもなります。
歴史的な創作秘話に興味がある人
『八犬伝』は単なる伝奇小説の映像化ではなく、その誕生に至るまでの過程や、作者・滝沢馬琴の人生を描いた作品でもあります。江戸時代の文筆業の実態や、創作に対する姿勢、家族との関係性など、歴史的な背景を学びながら楽しめる内容となっています。
特に、馬琴と葛飾北斎との交流や、劇作家・鶴屋南北との対話は、当時の文化人たちの創作論や価値観の違いを浮き彫りにしています。これにより、創作が単なる娯楽ではなく、作者自身の人生観や社会へのメッセージを反映するものだったことが伝わってきます。
また、28年という長い歳月をかけて作品を完成させた馬琴の執念や、視力を失いながらも口述筆記で書き続けた姿勢は、創作を志す人にとっても大きなインスピレーションを与える要素となるでしょう。歴史的な背景や文化、創作の裏側に興味がある人にとって、見応えのある作品です。
視覚的に美しい映像作品を楽しみたい人
映像の美しさにこだわる人にとって、『八犬伝』は大きな魅力を持つ作品です。VFXを駆使した幻想的なシーンがふんだんに盛り込まれており、特に八犬士の戦闘シーンや玉梓の怨霊が登場する場面は迫力満点です。最新技術を活かした映像表現により、伝奇的な世界観がリアルに描かれています。
また、江戸の町並みや芝居小屋のシーンでは、美術セットや衣装が細部まで作り込まれており、当時の文化や空気感を感じられるビジュアルも見どころです。葛飾北斎が絵を描くシーンや、馬琴の書斎の描写など、職人技が光る場面も多く、歴史好きや美術ファンにも楽しめる要素が詰まっています。
色彩やライティングにもこだわりが見られ、幻想的な八犬士の世界と現実の江戸の対比が際立つ演出となっています。視覚的な美しさを重視する人にとって、スクリーンで観る価値のある作品といえるでしょう。
八犬伝 は Prime Video で配信中!!

いつでもどこでも手軽に見れるにゃ!
八犬伝 作品情報
解説・あらすじ
山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する“虚構”パートと、その作者である江戸時代の作家・滝沢馬琴の創作の真髄に迫る“実話”パートを交錯させて描く。
人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る。
滝沢馬琴を役所広司、葛飾北斎を内野聖陽、八犬士の運命を握る伏姫を土屋太鳳、馬琴の息子・宗伯を磯村勇斗、宗伯の妻・お路を黒木華、馬琴の妻・お百を寺島しのぶが演じる。監督は「ピンポン」「鋼の錬金術師」の曽利文彦。2024年製作/149分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年10月25日
みどころ
『八犬伝』の見どころは、大きく分けて「虚と実が交錯するストーリー構成」「迫力ある映像表現」「豪華なキャスト陣の演技」の3点に集約されます。
まず、滝沢馬琴の人生と彼が創り上げた『南総里見八犬伝』の物語が交互に描かれる独特の構成が特徴的です。馬琴と葛飾北斎、鶴屋南北との交流を通して、創作の苦悩や意義が掘り下げられる一方、八犬士の活躍が映像美とともに描かれています。この虚と実のバランスが、作品の奥深さを生み出しています。
映像面では、VFXを駆使した幻想的な「八犬伝」パートが圧巻です。特に八犬士たちの戦闘シーンや、怨霊と化した玉梓の迫力ある描写は、スクリーン映えする仕上がりとなっています。また、江戸の町並みや芝居小屋の再現など、時代考証に基づいたリアルな美術セットも作品の魅力の一つです。
キャスト陣の演技も高く評価されています。役所広司が演じる滝沢馬琴は、その執念深い創作への姿勢をリアルに表現し、内野聖陽演じる葛飾北斎との掛け合いが物語にユーモアと深みを与えています。また、黒木華演じるお路の健気な姿や、栗山千明の妖艶な玉梓役も見どころの一つです。
このように、『八犬伝』はストーリー・映像・演技の三拍子が揃った作品であり、見る人によって異なる魅力を発見できる作品となっています。
歴史フィクションとファンタジーが融合した独自の世界観を持ち、特に八犬士たちの活躍や馬琴の人生を並行して描く手法が特徴的です。映像美やキャストの演技に注目しつつ、虚と実の対比を楽しむことで、より深く作品を味わうことができます。
まとめ
『八犬伝』は、滝沢馬琴の創作過程と彼の人生を交錯させた独自のストーリー構成が特徴の作品です。豪華なキャスト陣の演技、VFXを駆使した幻想的な映像美、そして歴史的な背景を深く掘り下げたテーマ性が評価されています。一方で、虚と実が頻繁に切り替わる構成や、一部キャラクターの描写不足が指摘されることもあります。
時代劇ファンタジーが好きな人や、創作の裏側に興味のある人、視覚的に美しい作品を楽しみたい人には特におすすめの映画です。滝沢馬琴という実在の人物の人生と、『南総里見八犬伝』の物語がどのように絡み合うのかを体験しながら、フィクションと現実の境界について考えさせられる一作となっています。
八犬伝 は Prime Video で配信中!!

いつでもどこでも手軽に見れるにゃ!






コメント